日時:12/6(金)16:30-
場所:富山大学理学部2階 A239号室
講演者:京都大学工学研究科  中西 俊博 先生
題目:メタマテリアルを用いた電磁波の保存/再生

講演概要:メタマテリアルとは、対象とする電磁波の波長より小さい人工構造(メタアトム)の集合体で、
入射する電磁波に対して特殊な応答をする媒質として振る舞う。メタマテリアルを用いることで、自然の
媒質では不可能な電磁波伝搬を実現したり、実際の原子系で起こる現象を模擬したりすることができる。
また、マクスウェル方程式がスケールフリーの関係式であることより、同じメタアトムの設計方針をマイ
クロ波から光領域までのあらゆる波長帯に適用することができる。
講演の前半では、スプリットリング共振器などの典型的なメタマテリアルの構造について概説した後、
メタマテリアルを用いた特異な電磁波伝搬として、「負屈折現象」とその回折限界を超える結像への応用
や、一般座標変換を利用した電磁波の伝搬制御としての「透明マント」の研究などについて紹介する。
講演の後半では、元々原子系で研究されてきた電磁誘起透明化現象(EIT現象)をメタマテリアルで実現す
る方法を紹介する。電磁誘起透明化現象とは3準位原子を構成要素とする媒質中の光伝搬を補助的な光を
用いて制御するもので、媒質の透明度の制御及び光の群速度の著しい低減を可能にする。この研究は、
制御光の動的な制御により光を媒質中に保存する光メモリへの応用に発展している。原子系では対象と
なる波長は原子種で一意に決まるが、人工原子の集合体であるメタマテリアルを用いることで、あらゆ
る波長でEIT現象を実現することができる。原子系のEIT現象と同様に、透明化現象とそれに伴う低速伝
搬現象を紹介した後、動的なメタマテリアル制御による電磁波の保存/再生の実現についてマイクロ波領
域での実験を含めて発表する。